特許 · PCTと国際優先権

台湾はPCT非加盟|国内移行できない場合の出願ルート

台湾はPCT締約国ではないため、PCT出願を台湾の国内段階へ移行することはできません。台湾で特許権を取得するには、台湾経済部智慧財産局(TIPO)へ別途、直接出願します。国際優先権を主張する場合、発明・実用新案は最先の第一国出願日から12か月以内、意匠は6か月以内に、台湾で出願日を確保する必要があります。

対象となる方

  • PCT出願または第一国出願済みで、台湾での権利化を検討している企業
  • クライアントの台湾出願を手配する日本・海外の特許事務所
  • PCTと優先権期限を管理する知財部門
  • 日台PDX・台米PDXを利用する出願人

要点

  • 台湾には30か月・31か月のPCT国内移行期限はなく、TIPOへ直接出願します。
  • 優先権期間は最先の第一国出願日から:発明・実用新案12か月、意匠6か月。
  • 後からPCT出願をしても、12か月は再開しません。
  • PCT出願自体が最初の出願である場合、一定の条件で優先権の基礎となり得ます。
  • 英語・日本語で先に出願し、4/2/4か月(延長で6か月まで)以内に中国語訳を追完できます。
  • 日台PDXと、2026年9月4日開始の台米PDXにより、アクセスコードで優先権書類を提出できます。

台湾はPCT加盟国ですか

いいえ。台湾はPCT締約国ではありません。そのため、台湾を受理官庁としてPCT国際出願を行うことも、PCT出願で台湾を指定して国内段階へ移行することもできません。

すでにPCT出願をしていても、台湾で権利化を希望する場合は、原則としてTIPOへ台湾出願を別途行います。これはPCTの「国内移行」ではなく、台湾法に基づく国内出願です。

この点は、台湾出願で国際優先権を主張できるかという問題とは別に判断します。PCT出願から台湾へ国内移行できなくても、一定の条件を満たすPCT出願が台湾出願の優先権の基礎となる場合はあります。

なぜPCT出願を台湾の国内段階へ移行できないのですか

PCTの国際段階から国内段階へ移行できるのは、PCT締約国・地域に限られます。台湾はPCTの枠組みに参加していないため、台湾について30か月や31か月の国内移行期限を待つという手続はありません。

したがって、台湾への出願期限は、PCT国内移行期限ではなく、台湾専利法第28条および関連規定に基づく国際優先権の期限を中心に確認する必要があります。一般に「パリ優先権」と呼ばれる経路に近いものですが、先の外国出願があるだけでは台湾で優先権が認められるわけではなく、専利法第28条の各要件を個別に満たす必要があります。台湾ではWTO加盟国、WTOの適用対象となる国・地域、または台湾と優先権を相互承認する法域など、台湾法上の要件に即して判断します。

外国出願人がTIPOへ直接出願する手順

  • 出願の種類を確認する:発明、実用新案、意匠のいずれか。優先権期間や提出書類、審査手続が異なります。意匠はPCTの対象ではなく、優先権期間も通常6か月です。
  • 最先の第一国出願を確認する:出願日、出願官庁、出願番号、出願人、開示内容。PCT出願が先の日本出願などを優先権の基礎としている場合、台湾出願の12か月は通常、PCT出願日ではなく、さらに前の第一国出願日から数えます。
  • 国際優先権の要件を確認する:台湾専利法第28条および関連規定に照らし、出願人の資格、基礎出願の国・地域、発明・考案・意匠の同一性、法定期間、優先権主張、証明書類を確認します。共同出願人がいる場合は、各出願人の資格も確認が必要です。
  • 期限内の出願日確保を確認する:代理人へ指示を送った日や資料を発送した日ではなく、TIPOで出願日を確保できたかが重要です。翻訳が間に合わない場合は、英語・日本語などの外国語書面で先に出願日を確保できる可能性があります。
  • 台湾代理人の選任を確認する:台湾に住所または営業所を有しない出願人は、原則として代理人を選任します。台湾支店や駐在員事務所がある場合でも、実際の出願人と住所の関係を個別に確認してください。

30秒で確認:今、どの手続を選ぶべきですか

現在の状況台湾で検討する手続主な期限・リスク次に行うこと
日本で発明・実用新案の第一国出願をしてから12か月以内TIPOへ直接出願し、国際優先権を検討台湾で12か月以内に出願日を確保する必要がある出願人、基礎出願、開示内容、翻訳予定を直ちに確認
意匠の第一国出願から6か月以内TIPOへ意匠を直接出願通常6か月。PCTとは別の手続図面・写真、創作者、出願人、優先権資料を確認
PCT出願が先の日本出願などに基づく優先権を主張している台湾への国内移行は不可。別途直接出願を検討通常、さらに前の第一国出願日から数える。PCTで期限は再開しない最先の優先日を確認し、残り日数を算出
PCT出願自体が最初の出願である可能性があるPCT出願を優先権の基礎として台湾へ直接出願できる場合がある指定国、国内出願としての効力、出願人、同一性、書類の要件がある台湾弁理士に個別確認を依頼
通常の12か月/6か月を過ぎた可能性がある優先権なしの台湾出願が可能かを検討元の優先権利益を得られない可能性があり、PCT公開などが先行技術となり得る公開日をすべて洗い出し、特許性を評価する
期限が迫っているが中国語訳が完成していない適格な外国語書面による先行出願を検討中国語訳の追完期限と原文の完全性に注意優先権証明書だけで代用せず、出願内容を開示する完全な外国語書面を準備

台湾特許の12か月・6か月の期限はいつから数えますか

期限内に必要なのは、台湾で出願日を確保することです。単に代理人へ依頼した、委任状を送った、または社内承認を終えたというだけでは足りません。

また、基礎出願と台湾出願は同一の発明・考案・意匠に関するものでなければなりません。台湾出願で追加した事項が、当然に先の優先日を得るわけではありません。複数の優先権を主張する場合、証明書類などの手続期限が最先の優先日から数えられることにも注意が必要です。

上記は一般的な期間です。実際の起算日、満了日、休日の取扱い、資格および提出済み書類は、個別事実とその時点で有効な規定に基づいて確認してください。

台湾での出願種類通常の国際優先権期間起算の基本
発明12か月最先の第一国出願日
実用新案12か月最先の第一国出願日
意匠6か月最先の第一国出願日

PCT出願自体が第一の出願である場合、台湾の優先権の基礎になりますか

なる可能性があります。PCTまたはEPCに基づく最初の出願が、WTO加盟国や台湾と優先権を相互承認する法域を指定し、その指定国の国内法上、適格な国内出願としての効力を有する場合、台湾の国際優先権の基礎となる可能性があります。TIPOの案内では、PCT出願に基づき優先権を主張する場合、受理国・機関の欄を「WO」または世界知的所有権機関として記載する取扱いも示されています。

ただし、PCT出願であることだけで優先権が認められるわけではありません。出願人の資格、指定国、国内出願としての効力、同一の発明、期限、優先権主張、証明書類などを個別に確認します。

PCT出願がより早い日本出願などに基づく優先権を主張している場合

通常は、PCT出願日ではなく、最先の日本出願その他の第一国出願日から台湾の12か月を数えます。PCT出願を行っても、台湾出願の優先権期間が新たに12か月始まるわけではありません。

いずれの場合も、台湾で行うのはTIPOへの直接出願です。PCT出願を基礎に優先権を主張できる場合でも、台湾へのPCT国内移行になるわけではありません。

台湾出願の期限一覧

4か月/2か月/4か月は当初の追完期間で、台湾出願日から起算します。理由を述べて延長を申請すれば、台湾出願日から6か月を上限として延長できます。延長は申請が必要で、自動的に適用されるものではありません。

なお、台湾の「外文本」制度は、日本の外国語書面出願(特許法第36条の2)とは追完期間が異なります。日本は優先日から1年4か月ですが、台湾は台湾出願日から4か月(実用新案は2か月、意匠は4か月)、延長しても6か月までです。

優先権を主張する場合、台湾出願と同時に、第一国出願の出願日、その出願を受理した国またはWTO加盟国、および出願番号を申告する必要があります。PCT出願を基礎とする場合、受理国・機関の欄はTIPOの案内により「WO」または世界知的所有権機関と記載できます。第一国出願日または受理国・WTO加盟国を記載しない場合は、優先権の主張がなかったものとみなされます(専利法第29条第3項)。出願番号はこれに含まれませんが、正確に記載する必要があります。

故意によらずに出願時の優先権主張を欠いた場合、または第一国出願日・受理国/WTO加盟国の記載漏れにより優先権主張がなかったものとみなされた場合、最先の優先日から16か月以内に、手数料の納付と申告の追完により優先権主張の回復を申請できます(専利法第29条第4項)。回復されるのは優先権の主張手続のみで、徒過した12か月/6か月の台湾出願期限が延長・回復されるわけではありません。

中国語訳を所定期間内に追完しない場合、出願が受理されない可能性があります。また、処分前に追完できた場合でも、中国語訳の提出日が出願日と扱われ、優先権に影響する可能性があります。

手続発明実用新案意匠
通常の国際優先権期間第一国出願日から12か月第一国出願日から12か月第一国出願日から6か月
優先権証明書類の提出期限(原則)最先の優先日から16か月最先の優先日から16か月最先の優先日から10か月
外国語による出願後の中国語訳の当初追完期間台湾出願日から4か月台湾出願日から2か月台湾出願日から4か月
中国語訳の追完期間の上限(延長を申請した場合)台湾出願日から6か月台湾出願日から6か月台湾出願日から6か月

英語・日本語で先に出願し、中国語訳を後から提出できますか

できます。発明、実用新案、意匠について、TIPOが認める外国語の書面で先に出願日を確保し、所定期間内に中国語(繁体字)の翻訳文を追完する制度があります。英語と日本語はいずれも認められる言語です。

したがって、台湾で出願日を確保する時点で、必ずしも中国語の特許請求の範囲がそろっている必要はありません。ただし、後に提出する中国語訳は正確かつ完全で、原外国語書面の開示範囲を超えてはなりません。TIPOの審査は中国語書面を基礎に行われるため、中国語の特許請求の範囲は権利範囲を左右する重要な文書です。

翻訳期間を確保するための制度であり、不完全な原稿や優先権証明書だけで出願日を確保する制度ではありません。

日本から台湾へ出願する場合の日台PDX

日本の基礎出願に基づいて台湾で国際優先権を主張する場合、発明、実用新案、意匠のいずれも日台優先権書類電子的交換(PDX)を利用できます。意匠は2022年1月1日から対象に加わりました。

  • 日本国特許庁(JPO)から優先権書類のアクセスコードを取得します。
  • 台湾出願時に第一国出願日、出願番号、受理国などの優先権情報を申告します。
  • アクセスコードをTIPOへ提出し、TIPOが電子的に優先権書類を取得できるようにします。
  • 正常に電子交換された場合、原則として紙の優先権証明書は不要です。出願時にアクセスコード未取得でも、発明・実用新案は最先の優先日から16か月、意匠は10か月以内に追完が必要です。

米国基礎出願に利用できる台湾・米国PDX

TIPOと米国特許商標庁(USPTO)は、2026年9月4日に台湾・米国間の優先権書類電子的交換(PDX)を開始しました。米国出願を基礎として台湾で優先権を主張する場合、USPTOが発行するアクセスコードをTIPOへ提出すれば、TIPOが優先権書類を電子的に取得できます。電子交換が正常に行われれば、原則として紙の優先権証明書を別途提出する必要はありません。

台湾出願時にアクセスコードが分かっている場合は、申請書で電子交換を選択し、米国基礎出願の出願日、出願番号、米国での出願種別およびアクセスコードを記載します。出願時に未取得の場合も、発明・実用新案は最先の優先日から16か月、意匠は10か月以内に追完する必要があります。

アクセスコードは優先権書類を取得するための手段であり、発明・実用新案の12か月、意匠の6か月という台湾出願期限を延長するものではありません。

台湾PCT出願で多い誤り

  • 台湾について30か月・31か月の国内移行期限を待つ——台湾にはPCT国内移行手続がなく、12か月の優先権期間を失うおそれがあります。
  • PCT出願日から新たに12か月あると考える。
  • 「パリ条約により必ず優先権を主張できる」と判断する——専利法第28条に基づく確認が必要です。
  • 代理人への指示日を台湾出願日と考える。
  • 優先権証明書だけで外国語による出願ができると考える。
  • 中国語訳を出願当日に必ず提出すべきだと考える、または追完期限を軽視する。
  • 出願人の相違や追加事項を見落とす。
  • 意匠もPCTで扱えると考える——意匠の台湾での優先権期間は通常6か月です。
  • 代理人の選任が必要なのに選任しない——グループ会社の台湾拠点の有無だけでは判断できません。

WISECODEの台湾出願サポート

  • ご指示前の最先優先日・期限の確認
  • 国際優先権を主張したTIPOへの直接出願
  • 外国語書面での出願日確保と中国語訳
  • 日台・台米PDXのアクセスコード対応
  • 発明・実用新案・意匠の選択戦略
  • 審査・拒絶理由対応・年金管理

公式資料

よくある質問

台湾はPCT加盟国ですか

いいえ。台湾はPCT締約国ではありません。台湾を指定してPCT国内段階へ移行することはできません。

PCT出願を台湾へ国内移行できますか

できません。台湾で権利化を希望する場合、原則としてTIPOへ台湾出願を別途行います。

すでにPCT出願済みでも台湾へ出願できますか

台湾への直接出願自体は検討できます。ただし、国際優先権を主張できるか、PCT公開などが新規性にどう影響するかは、最先の出願日、公開状況、出願内容などにより異なります。

PCT出願は台湾の優先権の基礎になりますか

なる場合があります。PCT出願自体が最初の出願であり、指定国や国内出願としての効力、出願人、同一性、期限、書類などの要件を満たす場合です。PCTがより早い出願に基づく優先権を主張しているときは、通常、その最先の出願日から期間を数えます。

台湾特許の12か月はいつから数えますか

発明・実用新案は通常、最先の第一国出願日から数えます。PCT出願を追加しても、12か月が自動的に再開するわけではありません。

米国仮出願が12か月の起算点になりますか

その仮出願が該当する適格な第一国出願であり、台湾法上の要件を満たす場合は、起算の基礎となり得ます。開示内容、出願人または承継関係、その後の出願の連なりを事前に確認してください。

台湾意匠の優先権期間も12か月ですか

いいえ。意匠の国際優先権期間は通常、第一国出願日から6か月です。

中国語訳が期限までに完成しない場合はどうすればよいですか

英語・日本語などTIPOが認める外国語の完全な出願書面で先に出願日を確保し、所定期間内に中国語訳を追完できる場合があります。原文の完全性と追完期限を至急確認してください。

外国出願人は台湾代理人を選任する必要がありますか

台湾に住所または営業所を有しない出願人は、原則として代理人を選任する必要があります。台湾拠点がある場合も、実際の出願人と住所を基に個別に判断します。

日本出願の優先権証明書は紙で提出する必要がありますか

日台PDXを利用し、JPOのアクセスコードによりTIPOが電子的に書類を取得できれば、原則として紙の証明書を別途提出する必要はありません。アクセスコードの追完期限は別途確認が必要です。

米国出願の優先権証明書もアクセスコードで提出できますか

はい。台湾・米国PDXは2026年9月4日に開始されました。米国基礎出願についてUSPTOのアクセスコードをTIPOへ所定の方法で提出し、電子交換が成功すれば、原則として紙の証明書は不要です。アクセスコードの提出期限は、発明・実用新案が最先の優先日から16か月、意匠が10か月です。

優先権の主張を忘れた場合、回復できますか

故意によらない場合に限り、回復を申請できます。出願時の優先権主張を欠いた場合、または第一国出願日・受理国/WTO加盟国の記載漏れにより優先権主張がなかったものとみなされた場合、最先の優先日から16か月以内に、手数料の納付と申告の追完により回復を申請できます。回復されるのは優先権の主張手続のみで、徒過した12か月/6か月の台湾出願期限は回復されません。

12か月または6か月を過ぎたら台湾へ出願できませんか

優先権なしの台湾出願を検討できる場合はありますが、元の優先権利益を得られず、PCT公開や他の公開が先行技術となる可能性があります。出願する価値があるかは、公開の時期と内容を踏まえて個別に評価します。

台湾出願の期限を確認する

台湾について「PCT国内移行期限」を探すのではなく、最先の第一国出願日と台湾への直接出願期限を確認してください。資料の送信のみでは委任関係は成立しません。正式な期限、国際優先権の資格および必要書類は、個別事実とその時点で有効な規定に基づき、台湾弁理士が確認します。

ご相談時にご用意いただくと判断が早くなります:

  • 最先の第一国出願日
  • 第一国出願の国・特許庁・出願番号
  • PCT出願番号、国際出願日、最先の優先日
  • 希望する権利の種類(発明・実用新案・意匠・未定)
  • 出願人の所在地および主たる営業所の法域
  • 現在の書類の言語
  • 直近と考えられる期限
台湾出願の期限を確認する

Last updated: 2026年9月